5月〜7月上旬にかけて、茶所では茶摘がなされます
山麓に広がる茶畑に、新緑が広がる風景は、里山の風物詩です
アスファルトジャングルでさいなまれている殺伐とした思いや
疲れきった身体に、心地よい風がほほをなでてゆきます・・・
仕事などの小休止に、一服のお茶を頂く、至福のひと時です・・・・
青年時代、茶について、書きとめた項目がありましたので
確認の意味をこめて、編集してみました
みなさんの存知よりの内容ですので、興味のある方だけ、お進みくださいませ・・・・

【 喫茶去(きっさこ) 】  出典:趙州語録
(じょうしゅうごろく)
  茶を喫せよ。「去」は句末の助詞。お茶を召し上がれ、の意。
  唐代の禅僧:趙州従しん※(
じょうしゅうじゅうしん※=言+念)は
  彼のもとへ参学にきた修行者に対し
  「此処に来たことがあるか」と尋ね
  「来たことがない」と答えた人にも
  「来たことがある」と答えた人も、趙州和尚は「喫茶去」といった

  これを聞いていたその寺の院主(寺の事務を司る僧)が
  「どうして共にお茶を飲ませるのか」と尋ねたところ
  趙州和尚は「院主さん」と呼び、院主が返事をすると、和尚は「喫茶去」とまた言ったという
  『此処
(ここ)』、つまり趙州和尚の居場所を指しますが、真意は「悟りを得ているか」という問い
  『喫茶去』は、もとは「目を覚まして来い」という語気を持っていますが、日本では伝統的に
  「まあ、お茶でもどうぞ」、「そう肩肘を張りなさるな」、という意味で用いられています
  日常生活のありようが、仏法そのものであることを諭していると解されることもあります
  『一杯のお茶を頂くときは、ただ無心にお茶を喫するのみ』  ( 淡交社:禅語大辞典 )

茶は、古代中国※においては早くから薬として知られ
 
(※吉川英治の小説、「三国志」でも、主人公の劉備玄徳が母親のために
   当時、貴重な薬とされた茶を買い求め、強盗に襲われるというくだりがあります)

日本にも留学生などを通じて、平安時代(794〜1192年)初期に伝えられたといわれます
嵯峨天皇(さがてんのう、52代、在位809〜823年) の朝廷では、茶を飲む習慣が生まれ
茶樹の栽培もすでにおこなわれています


一方、栄西禅師※が茶種を中国から持ち帰り、日本に喫茶の風習を広めたと伝えられています
 
(※栄西禅師(えいさいぜんじ、ヨウサイとも、1141〜1215年)、臨済宗の祖
   建仁寺を建立し禅宗の定着に務めた、宋から茶種をもたらして栽培、「喫茶養生記」を著す)

しかし、前述の留学僧うんぬんなどにより、栄西をもって茶の始まりとはいえません
それにもかかわらず、栄西が茶の開祖とされるのは
やはり『喫茶養生記』の存在意義が、大きいからではないかと考えられています
もっとも、平安時代の後期になると
茶が飲まれたのは、薬用を主としたものであり、趣味的なものはほとんど忘れ去られ
文化の国風化とともに、唐風文化の一環としての茶は衰退していきました
この傾向が進んだ鎌倉時代の初期において
新しく、優良な茶種をもたらし、喫茶の風を再興した人こそ、かの明庵栄西その人だったのです


『喫茶養生記※』の序で、栄西はこう述べています
 
(※「喫茶養生記(きっさようじょうき)」、茶に関するわが国最初の書、栄西著、2巻
   養生の仙薬として茶の効能を説き、将軍源実朝に献じたものという)

「そもそも茶というものは、養生の仙薬であり、延齢の妙術である」
すなわち、茶は健康維持の特別な薬であり、寿命を延ばしてくれるものだ、というのです
山行に見る お茶どうどす
今日のことば
※作成に当たっては角川書店:茶の文化史、岩波書店:広辞苑、小学館:大百科事典
  茶と美舎:歳時記、京都国立博物館:日本人と茶、淡交社:古寺巡礼、などから引用いたしました
大茶会:永源寺門前
撮影日:2006.0514、(晴)
所在地:滋賀県東近江市

臨済宗永源寺派の本山です
門前の屋根付看板には「大茶会」とあります。開山寂室禅師の奉賛法要があり
献茶が奉納されます
「宇治は茶所 茶は政所」と詠われる
政所(まんどころ)は、寺の麓を流れる
愛知川の上流にあります

参考に滅茶苦茶もごらんください
花見の茶会:二条城
撮影日:2006.04.09、(晴)
所在地:京都市中京区

京都二条城内にある清流園
満開の桜の下で
茶会が開かれていました
世事を忘れ
一碗の中に広がる茶の海に
舞い落ちる一片の花びら
風流ですな〜・・・・
二条城は京都における
徳川氏の城郭です
慶応3年(1867)、ここで
大政奉還がおこなわれました
県名
印の県に「目的地」があります
山葵の山行まっぷ
京都
滋賀
609版:平成18年06月01日 木曜日
喫 茶 去
一緒にいってみたいなこんなとこ
お茶には
カフェイン、テアニン、カテキン、ビタミンなどが含まれています
・ カフェインは、覚醒作用、利尿作用や消化促進作用
       ダイエット効果(脂肪燃焼効果)などに効用があり
       抹茶、玉露、煎茶に多く含まれる
・ テアニンは、旨み成分ともいわれ、リラックスさせる効果があり
       抹茶、玉露、煎茶に多く含まれる
・ カテキンはタンニンの一種で味覚面では渋味の元
       抗がん効果、生活習慣病の予防などに効果があり
       抗菌作用、煎茶、番茶に多く含まれる
・ その他、ビタミンCやEなど疲労回復に役立つ成分も多く含まれる

最近、食品のなかの一つの成分が注目されると、突出した形で商品化される例が増えています
ガン予防に効果があるというカテキンの場合も、実際には
ほかの多くの成分(カフェインやビタミンCなど)との相乗作用が重要であり、単独で摂取するよりも
お茶として飲むことに意味があると、研究者の間では警鐘が発せられています
栄西禅師 茶碑:建仁寺
撮影日:2006.04.20、(晴/曇)
所在地:京都市東山区

栄西禅師は中国から茶の種子を持ち帰り、茶樹の栽培と喫茶の風習の普及に尽力され
日本の茶祖と仰がれています
建仁寺開山、栄西禅師の茶徳に感謝の念を捧げ、毎年4月20日に行われる開山降誕法要に引き続き、茶碑の前に供茶して禅師の徳を偲ばれます
普茶料理の寺:萬福寺
撮影日:2005.03.07、(晴)
所在地:京都府宇治市

黄檗宗の本山萬福寺、明朝様式の堂宇が立ち並ぶことでも知られます。また、普茶料理という料理が知られています
中国式の精進料理です
黄檗宗はもと臨済宗の一派で
黄檗派とも呼ばれ
明治7年(1874年)に分離独立
単立宗になりました
私達が現在使っている漢字の「明朝体」、これも黄檗文化のもたらしたものの一つだとか・・

参考に鳴物入をご覧ください
栄西がもたらした茶種は、九州の地で播種(はしゅ)されました
九州の地で成功した後
京都では、明恵上人にすすめて、高山寺にて茶を栽培
これが最も成功し
ここが、茶の根元の地ということで「本茶」とよばれました
高山寺以外は「非茶」とよばれ
やがてその非茶の中から、「宇治茶」のように良質の茶もうまれ
茶の生産と消費が増大し
『日常茶飯』という言葉もつかわれるようになりました


茶は、若葉の採取時期によって
一番茶・二番茶・三番茶の別があります
 
・ 湯を注いで用いるのが煎茶(せんちゃ)
 ・ 粉にして湯に混ぜるのが抹茶(まっちゃ)
   または碾茶(ひきちゃ、テンチャとも)
 ・ 広義には焙じ茶(ほうじちゃ)
   紅茶、ウーロン茶、マテ茶などの総称
 ・ 御茶:葉茶、茶の湯、仕事の合間の小休み

お茶は、次の3種類に大別されます
 
・ 緑茶(Green tea):発酵させない茶
   主産地:日本、中国
 ・ 紅茶(Black tea):葉を発酵させて作る茶
   主産地:インド、スリランカ
 ・ ウーロン茶(Oolong tea):半発酵の茶
   主産地:中国の広東、福建、台湾
これらお茶は、世界中で日常生活の中に溶け込み、食前後の
お口直しやリフレッシュに、なくてはならないものとなっています

その他、日本では麦茶や野草茶が飲用されています

みたいな
J-1:煎茶/荒茶
J-2煎茶/仕上
K-1:碾茶/荒茶
K-2:碾茶/大骨(おおぼね)
荒茶を加工するとき
風圧で分離した茎の部分
K-4:碾茶/仕上
石臼で挽く前の状態
K-3:碾茶/折(おり)
荒茶を加工するとき
風圧で分離した葉脈の部分
煎茶と碾茶の見かけ写真
抹茶の製造
石臼で挽いている(機械挽き)
茶室:傘亭と時雨亭
撮影日:2004.03.13、(晴)
所在地:京都市東山区

豊臣秀吉と北の政所ゆかりの
高台寺、此処には茶室が2亭
並んで建っています
一つは天井の竹垂木が傘を
広げたように配したもので
傘亭(からかさてい、サンテイとも)
呼ばれます(手前の建物)
一方、時雨亭(しぐれてい)
2階建ての茶室(奥の建物)で
渡り廊下でつながっています
桃山時代の遺構で
共に重要文化財です
お茶の木:建仁寺
撮影日:2006.04.20、(晴/曇)
所在地:京都市東山区

看板によると
「中国、浙江省、国清寺(栄西禅師修行の地)より茶将来800年(1991)を記念して、お茶の種子を持ち帰り、発芽栽培した平成の中国原産の茶樹です」 (大本山 建仁寺)
斎堂と呼ばれ、在家で言う食堂のことです
山呼-リスト
私達の食生活、いや、日常生活に
おいて欠くことのできないお茶
健康に、リフレッシュに、コミュニケーションに
重要な役割をなしています
一昔前までは、朝起きると
一杯の茶を飲み新聞を見る、それが
世のサラリーマン諸氏の日課でした
今でもそうなのでしょうか・・・・
先日ラジオで、貴方はコーヒー党or茶党
というアンケートがあり
回答者の間では、35vs65%だったとか
ガンに効用があると聞いて
お茶を飲まれるようになった方も増加
たかがお茶、されどお茶・・・・
編集子の山行においても
1リットルの茶を用意してまいります
茶は元気維持の妙薬かも・・・・
喫茶去にちなみカメラが頂いた「茶」を
皆様におふるまいいたします
※ご参考までに
このコラムは
管理人のひとり言です
黒や灰色の文字は
編集子のオリジナル
カラー文字は編集子所蔵
資料からの引用です
山呼らいぶらり〜