【 根深枝茂(ね ふかくして えだしげし) 】
  根が深ければ枝が盛んに茂る
  基礎がしっかりしていてこそ発展することができる
  出典:『芸文類聚
(げいもんるいじゅう)』に載せられる劉安(りゅうあん)の屏風腑(びょうぶふ)
  「根深くして枝茂し、号して喬木(きょうぼく:空たかくそびえる大樹)と曰う」とある
                                           ( 淡交社:禅語大辞典 )

寄らば大樹の陰(頼る相手を選ぶならば、力のある者がよい)とよく言います
就労先しかり、地域社会しかり、政界しかり・・・・
そして
虎の威を借る狐(有力者の権勢をかさに着ていばるつまらぬ者のたとえ)とうわさされ
太鼓持ち(人に追従してその機嫌取りをする者)とのレッテルを貼られ
はては、日和見(事の成行きをみて有利な方につこうと形成をうかがうこと)と軽蔑される・・・・
誰ということではなく、ほとんどの人が持つ心のありようの一面です


人の心の中には、いろんな人格が棲みついています
自分の意見を持ちながらも、その場の雰囲気を気にして天秤にかけたり、大勢に傾いたり
ただひたすらに「ごもっとも」に徹することも、時には(意に反して)必要なときがあります
処世術といえば聞こえはいいのですが、人の世の悲しい性(さが)なのかもしれません

多くの方が一度はなろうと夢見る大樹
大樹になるには、それなりの素養も教養も栄養も必要です
虚弱体質では劣悪な社会・地球環境に耐え切れず、成長途中で枯れてしまう恐れがあります
運よく成長しても、社会の需要のための資源供給や開発のために伐採されてしまいます
それらの窮地をかいくぐり、大地に根を張り、風雪にも耐え、生き残ったものだけが
社会のシンボルとして認識されることになります、それが清であっても、濁であっても・・・・

清濁いずれにしても、問題はその基礎にあります
大樹に成長するには、そのものの素質や栄養が行き届いても
根が充分に張ることができなければ倒れてしまいます(大地に根を張る)
根を張れる基礎とは、いったいどんな基礎なのでしょう

基礎とは礎(いしずえ)です、事物全体が成り立つような基(もとい)です、土台です
地盤が軟弱な所では、地盤改良や支持杭などを施工して
建築物や大きな装置を設置することが出来るようにいたします
樹木も、根が張ることの適度な硬さの地盤と土の厚さが必要であり、良質な土壌が重要です


地球上のあらゆる生物も、その生物に適した大地に根を張り、生を営んでいます
そのうちの人間だけが、軟弱な地盤であろうとも、しっかりとした基礎:大地に仕立て上げ
目的の装置を設置することができます
それゆえに、人間の都合だけで大地:地球環境を勝手に変えられると思い込んできました

今、大地は悲鳴をあげています、地球温暖化しかり、環境破壊しかり、無秩序開発しかり・・・・
大樹
になったひとのリードが間違っていたのでしょうか
その大樹のもとに集まってきた人に、悪しきところがあったのでしょうか
いずれにしても、人間の思い上がりのなせる業
そのつけが今、噴き出してきているのだと思います
奢れるもは久しからずや・・・・
真の大樹が求められています、「日本沈没」とならぬように、一人ひとり心したいものです
鬼ヶ岳 木の根道
山行日:2004.09.16、(曇・晴)
所在地:福井県越前市旧武生市
入道ヶ岳 木の根道
山行日:2004.11.20、(晴)
所在地:三重県鈴鹿市

椿大社のご神体のお山です、尾根道にありました
南木曽岳 木の根道
まるで木の上を歩いているようです
南木曽岳 木の根道
山行日:2005.11.24、(曇/曇)
所在地:長野県南木曽町

南木曽岳は岩の山といっても過言ではありません
急な尾根道にはいたるところに木の根道が出現
根っこも石を抱いています(右上写真)
銀杏峯 木の根崖
山行日:2005.10.25、(曇/晴)
所在地:福井県大野市

急勾配で土が流れ、根っこが露出しています
今日のことば
524版:平成17年12月27日 火曜日
寄らば大樹の陰
大樹のある山道を歩いていますと
木の根っこに
足をとられることがあります
そんな時、辺りを見回しますと
急な坂や大きな岩があったり
崖地であったりします
根は樹木の成長に
欠かすことが出来ないものです
大地から栄養分を吸い取り
土中深く、しっかりと根を張って
転倒を防止しています
そのおかげで枝が張り葉も茂るのです
しかし、石の山などで見られるように
土の被りが少ないところでは
根が土中深くに張れません
いきおい地表に広く這い回り
岩をかみ、自立しようと懸命です
樹木の生命力が感じられます
そこで、今回は「木の根」に焦点を当て
「木の根道パート2」と題して
山道の状況をご紹介いたします
山行に見る 木の根道パート2
一緒にいってみたいなこんなとこ
みたいな
山葵の山行まっぷ
印の県に「目的地」があります
県名
福井
長野
三重
荒島岳 木の根道
山行日:2005.09.30、(曇)
所在地:福井県大野市

典型的な木の根道です
勾配のきつい所にありました
ご参考に、義経も登場する
   木の根道 パート1 も
               ご覧くださいませ
山呼-リスト
※ご参考までに
このコラムは
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資料からの引用です
山呼らいぶらり〜