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四国の屋根を行く
2002.10.15(火)〜17(水)
    晴後雨/快晴/快晴
位 置 図
剣   山
石 鎚 山
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山容パノラマ(ジロウギュウ峠から) 同名の峰がある。
石鎚山・剣山(四国の屋根を行く)
山容パノラマ(標高:1,700m付近から)
石鎚山/剣 山      標高:1,982/1,955m
石鎚山(標高:1,982m)

 石鎚山は、四国のみならず西日本最高の山である。我が国で、最も古くから讃えられた名山の一つで、『日本霊異記』にその名前があらわれている。
 この山は、役ノ小角(えんのおづぬ)が初めて登ったと伝えられているくらいだから、昔からどれほど多くの人が登ったことであろう。登山というより、 お詣りであった。古い風習が次第に消えてきたが、以前は四国八十八ヶ所の巡礼が、菜の花盛りの頃一番賑わい、その遍路の影が少なくなると、第二の年中行事として、お山詣り、すなわち石鎚山詣りの白衣の行者姿が、おもに「伊予・土佐」の二国であるが、いたるところに隠見したそうだ。
 北側から登るのが表参道であろうが、私は南の裏側の面河渓から登った。こちらの方が原始的な自然の姿を残している。この道は、頂上近くで表参道と一緒になる。露岩に下から一ノ鎖、ニノ鎖、三ノ鎖とかかっていて、上に行くほど鎖は長くなり、急峻さも増してくる。太い頑丈な環を組んだ鉄の鎖で、いかにも石鎚山が古くから民衆の登山の対象であったことを偲ばせるものだ。・・・・・・・・・・・・・・
(深田久弥:日本百名山「石鎚山」
               より抜粋)
剣 山(標高:1,955m)

 わが国の山名で、「駒」についで多いのは「剣」である。有名なのは、立山連峰の剣岳、木曽駒の宝剣岳、それから富士山の最高点は剣ヶ峰であり、御岳や白山の頂上にも同名の峰がある。もし、各地方にあるもっと低い剣山を探したら、まだまだあるだろう。
  前記の剣はすべて山の形から名前が来ている。たいてい、岩が剣のように屹立(きりつ)しているからである。ところが、四国の剣山だけは違う。これは頂上はなだらかな草地で、少しも剣らしいところがない。もっとも、頂きに近い所に大剣と呼ぶ巨岩が立っている。しかし、それをもって山全体の名とするわけにはいかない。厖大(ぼうだい)な山容から見ると、それはほんの一点景にすぎない。伝えによれば、安徳天皇の御剣を山頂に埋め、これをご神体としたから、剣山と呼ばれるようになったという。・・・・・・・
 剣山の頂上は、草地で昼寝を誘われるようなのんびりした気持のいいところであった。ほとんど平野らしいものは見えないから、逆に人里から剣山を仰ぐことはできないのであろう。それほど奥深い山といえる。・・・・・・・
(深田久弥:日本百名山「剣山」
               より抜粋)