今日のことば
801版:平成20年03月01日 土曜日
高さを知る
北岳山荘から、夜明け前の富士山
撮影日:2001.08.16、(晴)
所在地:山梨県/静岡県
富士山(標高:3775.6m、三等三角点、点名:富士山)
    標高第一位
    どこの山に登ってもまず探している
    押しも押されぬ日本一の山
    「遠くから眺める山」といわれるのもうなづけます
「荀子」より、気になる言葉を引用します
  荀子:中国、戦国時代の思想家、(前298?〜前238以降)
     「性悪説を唱え、礼を以って秩序を正すべし」、などとと説く


1) 小人は耳から学んだ学問を直ぐに口から出す
  君子は紙に穴があくほど読み、納得のいくまで思索を重ねる
  耳から学んだ学問を心に定着させ、体全体にゆきわたらせる

2) 君子が名君になれるか暗君で終わるかは部下によって決まる

3) 遇と不遇とは時なり
    人の運の善し悪しは時勢のいかんに依(よ)るものであるから
    今が不遇であっても悲観することなく
    また、仮に時を得ても得意にならない方が良いということ
    ----世に認められるかどうかは時勢の如何による。

4) 聞かざるは之を聞くに如(し)かず (儒效・十一)
   之を聞くは之を見るに如かず
   之を見るは之を知るに如かず
   之を知るは之を行うに如かず
   学は之を行うに至りて止む
   これを行うは明であり、明のために聖人となる

     聞かない→聞く→見る→知る→やってみる
     
学というのはこれを実行するのが一番良いということ

5) 「学は以(も)って已(や)むべからず (勧学・一)
   青は藍(あい)より出でて藍より青く
   冰(こおり)は水これを為して、水より寒(つめた)し」
     ----出藍(しゅつらん)の誉れ

     学問というのはとどまる所を知らない、弟子は師よりも優れたものになれ
     ※「冰(こおり)は・・・・」はあまり引用されていません


すなわち、人は学問によって矯正できる、だから学問をしなければならない
学問は途中でやめてはいけない
毎日反省を繰り返して学問をはげむことにより
英知がまして誤った行為をしなくなるのである
これは古代の聖王の言葉に接すれば実感できることである
高い山に登って始めて山の高さを知ることに似ている

と、解説されています

            君子:学徳のある立派な人
                真理や道を体得した人
                人格が立派な人

            四君子:梅・竹・蘭・菊
                 高潔(精神が気高く潔いこと)な美しさを君子にたとえて言う

            小人:徳・器量のない人
            大人:分別のあるさま、考え方・態度が老成しているさま
  (広辞苑)
常念岳からの槍ヶ岳
撮影日:2007.08.10、(晴)
所在地:長野県
槍ヶ岳(標高:3180m)、標高第五位、左の釣尾根は奥穂高岳 
『高き山に登って、始めて山の高さを知る』
けだし、いい得て妙なる言葉だと思います

山は、遠くからその山容(全貌)を見ることができますが
高さは、比較としてはわかるのですが、実感として感じ取れません
それは、一歩一歩踏みしめ身体で感じ、時には体力の限界を超えるときもあります
学問とても同じこと、一気に高等教育など受けても理解できません
一を聞いて十を知る、IQの高い人ならば容易なわざでしょうが
凡人にはたやすいことではありません


まず基礎学問を修め、専門知識を得るための準備をします
さらに見聞を広め、経験をつみ
物事の本質を見抜く力・技を体得します

山登りも準備無しでは、目的の所に到達することも確実な策ではありません
まず
山の状態(地形、距離、高度差、気象状況、などなど)を知る
つぎに体力・体調を整え、その次に装備を揃えます
そして心構え(気力)の充実
準備が整ったところで、アタック開始


いろんな状況に対応できる的確な判断力
体力維持のための適切な水分・栄養補給
限界に挑む強い精神力
これらが適度に補完しあって目的地に到達することができます

条件が厳しければ厳しいほど
その求められる準備も、格付けが高いものへと要求されます
山登りの厳しいところは
他人の手助けがないというところです


知識は教わることができます、深めることができます
しかし、山登りは重力に反し
低きところから高きところに、重力のあるものを移動させる行為です
すべて、おのが力と責任においてなされるものです

山は高いもの、とは準備の段階で知識として蓄積されます
しかし、その高さが自分の体調にどの程度影響するのか
そのルートが、自分の知識で十分乗り越えられるのか
自分の足で歩いてみて始めて知り得、危機回避の能力を試され
限界に達したとき、どのように対処すべきか自分自身で回答を導き出します

経験が経験を生み、さらに高みへと向上させることができるというものです
山だけにとどまらず、すべての道に通ずることだと思います


ここで標題の言葉をもう一度ひもといてみます
高き山に第一歩をしるします
その過程の中で、これまで学んできた学問を実践に移します
その結果、はじめてその高さというものを実感としてつかむことができます
成果として、山の高さというものががどういうものなのか具体的に知ることができます


私たちが楽しんでいる山登りも、このようにとらえてみると奥深いものがあります
たかが山登り、されど山登り、ではないでしょうか・・・・


ツアー登山が隆盛の昨今です
すべてがお膳立てされ、自分で調査もせず、ただついて行くだけという人も多くいます
自分たちだけの山、という感覚の人もいます
最低限、自分はどんな山に登るのだ、というぐらいは知っていてもらいたいものです
山行に見る 高き山
一緒にいってみたいなこんなとこ
みたいな
山葵の山行まっぷ
印の県に「目的地」があります
県名
富士山は山が大きすぎるため
山頂に上っても、全体が見えず
自分の足元だけしか見えません
ゆえに、遠くから眺めるのがいい・・・・
という人がいます
これも、実際に自分の足で
目的を達成したが上での発言であり
秀麗な山容と
山頂部の砂塵の登山道のギャップを
埋めようとしてのこと
登山に要した自分自身の成果は尊く
なんら汚されるものではありません
山登りは経験に裏づけされた実践学
一夜漬けなどの付け焼刃では
かないません
「山は先生・・・・」
けだし名言だと思います
今回は足元しかみえない富士山に
ことよせて、「高き山」と題し
日本の標高ベスト5の
山容を集めてみました
長野
静岡
山梨
山呼-リスト
※ご参考までに
このコラムは
管理人のひとり言です
黒や灰色の文字は
編集子のオリジナル
カラー文字は編集子所蔵
資料からの引用です
山呼らいぶらり〜
甲斐駒ヶ岳からの北岳
撮影日:2005.10.13、(晴)
所在地:山梨県
北岳(標高:3192.4m、三等三角点、点名:白根岳)
    標高第二位、奥に見えるのは第四位の間の岳    
常念岳からの奥穂高岳
撮影日:2007.08.10、(晴)
所在地:長野県
奥穂高岳(標高:3190m)、標高第三位、奥に見えるのは乗鞍岳・御嶽 
北岳からの間ノ岳
撮影日:2001.08.16、(晴)
所在地:山梨県
間ノ岳(標高:3189.3m、三等三角点、点名:相ノ岳)、標高第四位