今日のことば
336版:平成15年11月25日 火曜日
結  界
【 結界(けっかい) 】
@、〔仏〕修行や修法のために、一定区域に限ること
   また、その区域に仏道修行の障害となるものの入ることを許さないこと「女人−」
A、寺院の内陣と外陣のとの間
   または、外陣中に僧俗の座席を分かつために設けた木柵
B、帳場格子                                          (広辞苑)


  最近、TVで「陰陽師(オンヨウジ、またはオンミョウジ)」というのが放映されることがあります
その映像の中に、四方に縄を張りまわし、祈祷するシーンがあります
これは、修法のために設けられた結界です
また、私たちの一代事業である「住宅」の建設に伴い、着工時に起工式を行います
このときに、四方に竹笹を立て、縄を張り巡らせて式を行います
これなども、この一種です


密教では修法を行う場所に魔障が入らないようにするために
一定地域を限って結界をする、この地域を結界地といわれます
比叡山や高野山などが、これにあたります
なかには、女性がその区域(地域)に入ることを許されない所がありました
高野山の草創以来、女性は山に入ることを許されませんでした
そのため、女人高野として「室生寺」の信仰が盛んになりました
明治五年、女人禁制がとかれ(太政官布告とあります)
当初は、女性を受け入れる精神的準備もできていなかったようで
名実共に女性の入山が行われるようになったのは、日露戦争の時からだといわれています
今では、高野山には「女人堂」にその名残を見るのみです

今なお、厳然として拒みつづけている所があります、大峰山の「山上ヶ岳」です
ここは、今なお信仰上の理由により女性の入山を拒んでいます
そして、今ひとつ、国技といわれている「大相撲」の土俵がそれにあたります
大阪場所で、女性の大阪府知事が誕生した時のこと
表彰のため、登壇したいと希望されたが実現しなかったことは、記憶に新しい所です
※トンネルの工事現場の女性入場拒否は、「結界」とは趣を異にするようです

この様に、「結界」は区域と区域外、内と外などのように区域の境目を意味し
また、境目を表示するためのものです
「女人禁制」に対し、人権などの旗を打ち立てて抗議されるのも、当然で仕方ないのですが
当事者にとって見れば、侵されたくない聖域です
これが、私的な所では問題にならないのですが、こと公の場所になると摩擦が生じます
古来からの伝統や風習、文化を守り育てる(続ける)ことのなかに
このような矛盾も生じてきます
拒み(女人禁制)を解くことは、利することがあれど、失するものは何もない
と思うのですが・・・・
大峰山 女人結界 母公堂
山行日:2003.11.10(雨)
所在地:奈良県天川村

大峰山(山上ヶ岳)は
現在でも女人禁制を守る
修験道のお山です
いろいろと
議論があるようですが
現在も
「宗教上の理由」により
女性がお山に立ち入ることが
許されません
俗人には解かりませんが・・・・
女人禁制の表示看板
一時、禁制解除がでたと言う
報道を訂正する「お知らせ」
誤報だという内容です
大峰山 女人結界
これが世に名高い「女人結界」です
この門から先へは女性の立入が禁止だそうです
監視する人はいませんでした
天川村 竜泉寺 車止め
看板と併用しています
横文字だと「バリカー」と言うのでしょうか
背が低いので
人は通り抜けてもいいようです
某寺院 結界石
単なる石ですが
管理者の意図は「車止め」のようです
これがあるので関係者以外の車は
手前で止まっています
戸隠神社 中社 しめ縄
山行日:2003.05.12(晴)
所在地:長野県戸隠村

今日は7年に一度のお祭日
神聖な場所であることを
しめ縄で(神事の場に
不浄なものの進入を禁ずる印)
張り巡らして
参詣者に知らしめています
この内側で
神輿の巡行や
神への儀式などが行われます
日吉大社二宮橋(重文)
山行日:2003.04.17(晴)
所在地:滋賀県大津市

日吉大社の大宮川にかかる橋
「この橋 渡るべからず」
看板などはありません
ただ一本の
竹の棒があるだけですが
管理者の
意思が伝わってきます
県名
印の県に「目的地」があります
山葵の山行まっぷ
いってみたいなこんなとこ;山行や旅行
山行に見る 立入禁止
奈良
滋賀
長野
立ち入り禁止は
宗教的には「結界」といわれます
神聖な場所と不浄な場所を
仕切る目的や
修法などをする場所を示すために
設けられます

単なる進入禁止や危険防止のために設けられる垣や柵や塀などとは
設置の趣旨からして違うものです
ただ、そのものに精神的な意図が
盛り込まれることによって
「結界」に産まれ変わるのかも
知れません
今回は、そんな立ち入り禁止の
「措置」に焦点を当ててみました
みたいな
山呼-リスト
※ご参考までに
このコラムは
管理人のひとり言です
黒や灰色の文字は
編集子のオリジナル
カラー文字は編集子所蔵
資料からの引用です
山呼らいぶらり〜