徳島自動車道の池田ICから、徳島市に入ったときにはとっぷりと日も暮れて、昨日と同様の変わらぬ月の光が 阿波の山並みを、薄黒いシルエットとして浮かび上がらせている。神戸淡路鳴門自動車道経由で予定通り(彦根IC:PM11:00)無事帰彦。下駄を履いたのはPM 11:20だった。
 

  南国:石鎚山の紅葉は、11月初旬が見頃だと思っていたのだが、山頂は盛りを過ぎ、中腹に降りてきている。確かに山里では、11月初めになればそれこそ錦秋の中の散策を楽しめるであろう。山上は今が見頃、登山者も少なく、私にとってのハイシーズンとなった。
 これで、四国の第1、第2の高峰に足跡を印せたことになる。四国の山並みは、表情が穏やかである。確かに山道は狭くて険しく、奥深い。それは、何処の山でも同じだ。四国の山は、初級の登山者でも無理なく山行を楽しめる。近場だと、いろんな峰の山歩きを楽しむことができるが、アクセスに7〜9時間と長く、日帰りができないのが残念かな。そこがまたいいのかな。

   ハードルがあればあるで、それも旅の醍醐味の要素の一つとして楽しめればいいと思う
   元気に歩ける。元気で山に登れる。
   景色を見て「きれい」だと思える。断崖絶壁を見て「恐い」と思う
   そんな自分を「素敵」だと思える
   命の洗濯「10月号」、多きにリフレッシュできました
   ご迷惑をかけた皆様、お世話になった皆様、ありがとうございました
   好天に恵まれた今回のトレッキング
   明日、10月18日は十三夜だ、きれいな月が見られるといいな

           あるお年寄りが私に言った
          「遊び心(楽しみ)がなくなった日から老いが始まる」と
           高齢者の方にしてこれである、自分ではまだまだ若いと思っている
           私は思う
          「感激する心、感動する瞬間がある限り、青春真只中!」と ?
 PM 03:00 瓶ヶ森下山
        一路西条市へ

  山並みドライブウェーは、四国の屋根の間を縫いながら、約25kmの道のりを伊予富士、寒風山、笹ヶ峰といった山々を仰ぎ見ながら西条市へとつながっている。約1時間半の道のりだ。道路は、川の(この川は、加茂川)堤 防にそって瀬戸内海に向けてのびている。その前方で何やら人だかりがある。そして車は止まってしまった。川沿いをながめると、河川敷に山車が沢山集まっている。道路にも、きらびやかに衣裳を施した山車が道を塞いでいる。
2002.10.25
剣山紀行  四国の屋根を行く
  四国という不整長方形の二つの核心、西の石鎚山が山骨稜々として厳父的なのに対し、東の剣山は豊かな膨らみをもって慈母的である。しかも双方とも古くから住民に尊崇され、歴史と伝統が山に沁み込んで いる。石鎚は 1,982m、剣山は 1,955m、わずかの差で拮抗しているところも面白い。高山の少ない西日本で、 2,000mに近い標高は尊重するに足りる。いずれの点からしても、この二つは名山である。・・・・                     (深田久弥:日本百名山より)

 私が石鎚山と剣山に行ってみようと思ったのは、偶然この文章が目に触れたときからでした。
丁度、中・高年の登山ブームが起こりはじまる頃でしたでしょうか。ようやくこの地に立つことができました。 『石鎚山/剣山 紀行』として、山行後作製したものを、今回、hp用に再編集いたしました。「石鎚編」に続き、「剣山編」を・・・・
                          
 PM 04:30 帰路につく
 国道11号を大歩危、小歩危の景勝地を横目で見ながら吉野川を下って行く。これまで、面河渓や岩戸渓、祖谷渓をいやと言うほど堪能してきているのでことさら感激しないのが不思議だ。人は美食になれるとそれが当たり前になる。グルメ志向の人は、更により良いものへと目を向けて、果てにはいわゆるゲテモノに向かうこ とが多い。次元が違うが、似たり寄ったりだと、含み笑いを浮かべながら、曲がりくねった道を進んで行く。
 更に祖谷川にそって下ること1時間、本命の「かずら橋」に着く。ここは観光客でいっぱい、橋は 一方通行である。通行人の中に一人、恐くて進めないのか、橋の中程で手摺につかまって立ち往生している。 後に続く迷惑顔な人、ヒト、ひと・・・・。
  この橋は「重要文化財」であるがための人気の悲哀なのだろうか、 山奥でありながらこの人の多さには、山の神様も辟易されていらっしゃることでしょう。自分もその一人として苦笑せずには居られない。もう1週間もすれば、紅葉は山から一気に駆け下りてくるのであろう。その時は、今日の比 どころではないだろう。

 旅の締めくくりに、温泉につかる。 (祖谷渓に 250mの谷底へリフトで下がり、ひなびた趣のある露天風呂につかれる祖谷温泉があるということを、昨日の宿舎のマネージャーから聞いていたが、4時でリフトが止まるという。 この時間では、間に合わず自力で上まで登らなければならず、また汗をかいてしまう。それをあきらめて近場の「秘境の湯」で代替する。)美人の湯的湯触りで、体がスベスベして、実に気持ちがいい。心地よい秋の夕暮れの光が露天風呂に差し込んでいる。極楽、極楽!
 PM 12:30 下山
        かずら橋へ

  剣山見ノ越から8km下ると「2重かずら橋」がある。祖谷川に架けられた橋で、下流には「男橋」そこから上流 50m程の所に「女橋」、この2本の橋を総称して「2重かずら橋」だそうな。 山仕事等に利用されていた、との説明書きがあったが、何故短い距離の間に 2本もの橋が架かっているのかは解らなかった。更に上流に行くと「野猿」 が渡されている。これは、キャンプ場が近くにあり、資料用に設けられているものと思う。童心にかえって野猿に乗り、足場の隙間が大きく開いた吊り橋を渡る。恐怖心で心が揺れるから、手摺を持たないでは居られない。訪れる人も数少なく、思う存分楽しむ。
  AM 09:30 見の越到着
 剣山登山開始。当初の予定では、歩いて上がるつもりであったが、午後の予定を考慮して、リフトを利用し、わずか15分で9合目まで体を持ち上げる。(歩くと2時間 かかる)そこから僅か40分あまりで頂上に立つことができた。ここも山腹は色鮮やかに染められている。頂上の北側は広く笹原で自然保護のため広い木道が何本も布設されている。ご多分にもれず、山では若者が極端に少なく、元気な中高年者が青春を謳歌している。
一宇町の景勝地:土釜
10月17日(木)
 AM 08:20 宿出発

 昨日、宿への到着が遅くなり、立ち寄ることができなかっ た景勝地「土釜」に立ち寄る。宿舎のマネージャーに「引き 返しても見る価値がある(それは5km後戻りの位置にある)」 との言葉どおり、目を見張る景観である。岩が水に浸食され、奇怪な状態をかもし出している。「この木がないとカメラアングルにうまく入るのに」と、自分勝手なことを言いつつ、 しばしの間、自然の芸術に身をゆだねる。
 一路、剣山を目指してヘアピンカーブを幾重となく駆け上がる。「こんな時間に山から下りてくる車はなかろう」と思いつつも、慎重に運転を続ける。剣山ドライブウェーと名前が付き、国道 438号と地図に上がっているから、さぞかし走りやすいと思っていたのだが、案に図らんやアスファルトで舗装 された山道に他ならない。中腹には、スキー場も有り、冬場でも多くの人が利用するのだろう。それにしても狭くて厳しい道である。
  峠を越えると剣山の頂上が見えてきた。眼前にそびえる、といっても剣らしさは見られない。石鎚に比べると、 あまりにも穏やかな山容である。そんな気持ちとは裏腹にハンドルから手を離すと、冷や汗がにじんでいた。
 明日のために、残り少なくなったガソリンを求めにスタンドに立ち寄るが、いずれの店も「臨時休業」の立て札。5件目にして、ようやくセルフスタンドで車にも食事をとることができた。ここまで進む間、信号機を操作して2台の山車が川に向かって行く、「山車、最優先」である。給油中にも1台と、まさに祭一色に彩られた町の姿がそこにあった。 昨日「祭よりも山!」ということで、お祭り見物は夢にも思っていなかったが、思いもかけない状態で目の保養をすることができた。石鎚の神様の引き合わせかも知れない。感謝!

 徳島自動車道経由で今日の宿泊地の「岩戸」へと車を進める。空には月が出てきた。不案内な細い山道を、 どんどん高度を上げて行く。知らない道のりは本当に長く感じる。昨日から、何度も同じ思いをしてきている。 「夜道に日暮れ無し」と言い聞かせながら、ゆっくりと車を走らせる。剣山勤めの人達が帰ってくるのだろうか、山から降り てくる車がとても多い。宿に到着したのは月が輝きを増した 6時半であった。標高が低いのであろうか、以外と暖かい
西条まつり:人の波(山車が河川敷に勢揃い)、禊が行われる
瓶ヶ森からの石鎚山の山容
 頂上からの石鎚の山容は、翼を広げた鶴のように、今まさに飛びたたんとしているようにも覚えるのは私だけだろうか。伊予平野にその圧倒的なスケールで周囲の山々の頂点に君臨する姿は、四国の人々、四国を訪れる人々の心のよりどころ言われる所以でもあろうか。
瓶ヶ森(女山)の頂上
 山登りは辛いものである。わずか10分の道のりでも30分かかったように思えるときもあるし、1時間の道のりでも30分程度の簡単な距離に感ずることがある。その時の体調、リズムで思いは千変万化になる。人とは身勝手なもので、楽な方、簡単な方に向きがちであ る。それが人というものかも知れない。
 約40分で、男山より僅かに高い「女山」 の頂に立つことができた。蚤の夫婦のような関係の山で、男山はいかにも荒々しく、女山はどこまでも柔らかな山容をしている。山裾を見ると、笹原が秋の午後の陽光を受け、漣のように揺れている。その上で寝そべりたい衝動に駆られる。でも、先を急がねば! 
これが目指す頂上:女山「瓶ヶ森」
 ほぼ30分で頂上に到着!
しかし、その前方を見て
「アチャ〜!」
山並みは
まだ先に続いている。
今、居るところは「男山」の頂
目指す頂上はその先の
「女山:瓶ヶ森(標高:1,896m)」
「だまされた!」
後ろの方で声がする。
私と同じような思いで登ってきた人が、ブツブツと何か言っている。
頂上と思わせた頂:男山
  立地的には、伊吹山の8合目の駐車場のような位置関係にある。山の頂をバックにカメラのファインダーを覗いていると、山頂が手招きをしているではないか。「30分で頂上!」彼のカメラマン氏の言葉を思い出した。廻りを見渡すと、ヒールの高い人もいる。スーツを着た人もいる。おそらくこの陽気に、気持ちを抑えきれなかったのだろう。そんな気楽に登れるのか!と思いながらザックを背負い、目の前の頂を目指す。
 AM 10:30 剣山頂上到着
 頂上からは、それぞれの峰につながる尾根道に、ルートがくっきりと浮かび上 がっている。その中で、特に姿の美しい次郎笈(標高:1,929m)に向かって歩を進める。今日も、穏やかな小春日和の中のどかな尾根歩きを楽しむ。
 時計を見ると AM11:00、このまま進むと下山は PM1:30、後がない。やむを得ずUターンをする。それだけ体調も、気分も絶好調だったのである。この山は、子供や高齢者でも充分楽しめる一般向きの山だと思う。ただ、ここまでのアクセスが厳しく長い、登山の前に疲れてしまう。
剣山からかずら橋のスケッチはこちらからご覧ください
次郎笈(ジロウギュウ)峠から剣山を見る
 PM 12:30 土小屋登山口下山、昼食
 天気も体調も良い。剣山への道は3方向ある。車のハンドルを「瓶ヶ森」 に向けたのは言うまでもない。細い道を瓶ヶ森山麓まで来ると、駐車場にたくさんの乗用車が駐車している。自分達のことを棚に上げて、平日なのにどうしてみんなここに来る時間があるのかな、と言うほどの台数である。
夕暮れ時の吉野川:池田町
2重かずら橋「男橋」:祖谷川の河原から
剣山頂上にて
瓶が森から西条まつり
スケッチはこちらからご覧ください
「これが、かの有名な西条まつりか!」 と、車から降りて、カメラのシャッターをきる。驚くことに、若者がまつりそのものに大勢参加している。お揃いのコスチュームでそれに勝るとも劣らぬカラフルな髪の毛で、山車にまけないほどである。禊が行われるのだろう。これから山車が河川敷に勢揃いするクライマックスのシーンに出逢った瞬間である。人口の少ない地方都市ではついぞ見かけたことのない人の多さ、若者の多さである。若者が参加してくれるイベントは、とにかく活気がある。華やかになる。見ていてとてもすがすがしい思いの停車時間であった。